- 介護職のボーナス年間平均は約55万円。施設別では特別養護老人ホームが最高水準(約79万円)
- 経験年数が長いほど増加し、20年以上では年間96万円超に達することもある
- 介護福祉士などの資格取得・役職就任・高賃金施設への転職がボーナスアップの主な手段
「介護職のボーナスって、他の業種と比べて少ないの?」と気になっている方は多いでしょう。
結論からお伝えすると、介護職の年間ボーナス平均額は約55万円で、支給のある職場では夏・冬に各20〜30万円程度が一般的です。
施設の種類や経験年数、保有資格によって大きく差があるため、この記事では公的統計をもとに実態を詳しく解説します。
介護職のボーナス(賞与)の平均相場
年間平均額と支給回数
介護職全体の年間ボーナス(賞与)の平均額は約55万1,000円とされています。
支給回数は多くの施設で年2回(夏季・冬季)が標準です。
1回あたりに換算すると、おおよそ25〜28万円程度が目安となります。
ポイント:ボーナス制度の有無は施設によって異なります。
介護労働安定センターの調査では、無期雇用(正規職員)の場合、7割以上の施設でボーナス制度があることが確認されています。
出典:公益財団法人介護労働安定センター「令和5年度 介護労働実態調査」(2025年3月取得)
年齢別ボーナス平均額
年齢別に見ると、ボーナス額はキャリアとともに上昇し、45〜50歳未満でピークを迎えます。
| 年齢 | 年間ボーナス平均額(概算) |
|---|---|
| 20〜24歳 | 約30〜35万円 |
| 25〜29歳 | 約38〜45万円 |
| 30〜34歳 | 約45〜52万円 |
| 35〜39歳 | 約52〜58万円 |
| 40〜44歳 | 約58〜62万円 |
| 45〜49歳 | 約64万3,000円(ピーク) |
| 50〜54歳 | 約60〜63万円 |
ボーナスが上がりやすい背景には、基本給の定期昇給に加えて、役職や処遇改善加算の上乗せが年数とともに積み重なるしくみがあります。
出典:公益財団法人介護労働安定センター「令和5年度 介護労働実態調査」(2025年3月取得)
経験年数別ボーナス平均額
経験年数が増えるほどボーナスは大きく伸びます。
1年未満と20年以上を比べると、約2.8倍の差があります。
| 経験年数 | 年間ボーナス平均額 |
|---|---|
| 1年未満 | 約34万1,000円 |
| 1〜3年 | 約40〜46万円 |
| 5〜10年 | 約55〜62万円 |
| 10〜20年 | 約70〜80万円 |
| 20年以上 | 約96万2,000円 |
長く同じ施設に勤めることで、定期昇給と役職手当の積み重ねがボーナスの基礎となる基本給を押し上げます。
出典:公益財団法人介護労働安定センター「令和5年度 介護労働実態調査」(2025年3月取得)
施設・サービス種別のボーナス比較
特別養護老人ホーム(特養)
特別養護老人ホーム(特養)は介護施設の中でもボーナス水準が最も高い部類です。
年間平均ボーナスは約79万5,000円とされており、1回あたりに換算すると約40万円程度が目安です。
特養は社会福祉法人が運営する施設が多く、補助金や処遇改善加算の活用率が高いため、比較的手厚い待遇が維持されやすい傾向があります。
出典:公益財団法人介護労働安定センター「令和5年度 介護労働実態調査」(2025年3月取得)
介護老人保健施設(老健)
介護老人保健施設(老健)は、医療法人が運営することが多く、年間ボーナス平均は約71万7,000円です。
特養に次ぐ高水準であり、看護師や理学療法士などの医療職と連携する環境ゆえに、職員全体の待遇も整備されやすい施設類型です。
出典:公益財団法人介護労働安定センター「令和5年度 介護労働実態調査」(2025年3月取得)
グループホーム・デイサービス
グループホームの年間ボーナス平均は約43万9,000円、デイサービスは約51万5,000円です。
特養・老健と比べると低めですが、デイサービスは日勤のみで夜勤がない分、身体的負担を抑えながら安定して働けるメリットがあります。
グループホームは1ユニット9人以下という小規模な環境のため、事業所の運営状況がボーナスに直結しやすい傾向があります。
利用者の稼働率が高い時期にはボーナスが上乗せされるケースもある一方、経営が苦しい小規模事業所では支給が少なくなることもあります。
訪問介護(ホームヘルパー)については、時給制・件数制の事業所が多く、ボーナス制度を設けていない事業所も少なくありません。
訪問介護を選ぶ際には、月給制か時給制かも含めて年収ベースで比較することが重要です。
| 施設・サービス種別 | 年間ボーナス平均額(概算) |
|---|---|
| 特別養護老人ホーム(特養) | 約79万5,000円 |
| 介護老人保健施設(老健) | 約71万7,000円 |
| デイサービス(通所介護) | 約51万5,000円 |
| グループホーム | 約43万9,000円 |
出典:公益財団法人介護労働安定センター「令和5年度 介護労働実態調査」(2025年3月取得)

職種・資格別ボーナス
同じ施設に勤めていても、保有資格や職種によってボーナス額は異なります。
| 職種・資格 | 年間ボーナス平均額(概算) |
|---|---|
| 看護職員 | 約70万6,000円 |
| 管理栄養士 | 約69万7,000円 |
| 介護福祉士 | 約59万5,000円 |
| 介護職員(無資格) | 約39万9,000円 |
介護福祉士と無資格者のボーナス差は年間約20万円にもなります。
資格取得が待遇改善に直結することがわかります。
出典:公益財団法人介護労働安定センター「令和5年度 介護労働実態調査」(2025年3月取得)
ボーナスの支給時期と査定基準
夏・冬の支給時期
多くの介護事業所では、年2回のボーナスが支給されます。
夏季は6月下旬〜7月上旬、冬季は12月上旬〜中旬が一般的なスケジュールです。
一部の施設では3月決算に合わせて3月に「決算賞与」を支給するケースもあります。
就職・転職時には、求人票や面接時に「賞与の支給月」「直近の支給実績」を確認しておくことが重要です。
賞与の支給月数は「月給の〇〇ヶ月分」という表記が使われます。介護職の場合、2.0〜3.0ヶ月分が一般的な水準とされています。
求人票に「賞与年2回(実績)」と書かれていても、前年度が特別に多かった可能性があるため、「過去2年間の支給実績」を確認するのが確実です。
出典:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」(2025年3月取得)
ボーナスの査定基準
介護職のボーナス査定は、主に「基本給」をベースに乗率をかけて計算されます。
一般的な計算式は「基本給 × 支給月数(例:2.0〜3.0ヶ月)」です。
そのほか、出勤率・職務評価・介護サービス加算の取得状況が加味されることもあります。
査定で評価されやすいポイント:
- 出勤率が高い(欠勤・遅刻が少ない)
- 介護技術の習熟度や研修の受講実績
- チームへの貢献度・後輩指導の実績
出典:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」(2025年3月取得)
パート・アルバイトのボーナス事情
パートタイム・アルバイトへのボーナス支給は、正規職員に比べて少ない傾向があります。
ただし、介護労働安定センターの調査では、有期雇用職員でも半数近くの施設でボーナス制度があると報告されています。
支給額は時給単価をもとに算出されることが多く、1回あたり数万円程度が一般的です。
同一労働同一賃金の観点から、正規・非正規の待遇格差は見直しが進んでおり、今後パートへの賞与支給が広がる可能性があります。
出典:公益財団法人介護労働安定センター「令和5年度 介護労働実態調査」(2025年3月取得)
介護職のボーナスを増やす3つの方法
介護関連の資格を取得する
資格取得はボーナスを引き上げる最も確実な方法のひとつです。
前述のとおり、無資格者と介護福祉士ではボーナスに年間約20万円の差があります。
取得を優先すべき資格は、以下の順番が一般的です。
- 介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)
- 実務者研修
- 介護福祉士(国家資格)
- ケアマネジャー(介護支援専門員)
初任者研修→実務者研修→介護福祉士と段階的にステップアップすることで、基本給の上昇とともにボーナス額も引き上がっていきます。
出典:厚生労働省「介護分野における処遇改善に向けた取り組み」(2025年3月取得)
管理職・役職に就く
施設長や主任・リーダー職になると、役職手当が基本給に上乗せされます。
ボーナスは基本給をベースに計算されるため、役職手当が加わることで支給額も増えます。
リーダー・主任クラスでは基本給が1〜3万円程度上乗せされることが多く、年間ボーナスに換算すると2〜9万円ほどの差につながります。
「まず後輩指導を積極的に担う」「研修講師を引き受ける」など、リーダーシップの実績を積み重ねることが昇進の近道です。
出典:公益財団法人介護労働安定センター「令和5年度 介護労働実態調査」(2025年3月取得)
ボーナス水準の高い施設へ転職する
現在の施設でのボーナスに限界を感じる場合、転職が最も大きな変化をもたらすことがあります。
施設別のボーナス差は年間30〜40万円以上に及ぶため、同じ「介護職」でも職場の選択次第で待遇は大きく変わります。
転職先を選ぶ際には、以下を必ず確認しましょう。
- 直近2年分のボーナス支給実績と支給月数
- 処遇改善加算(I〜V)の取得区分
- 特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算の有無
これらの加算を多く取得している施設ほど、スタッフへの還元率が高い傾向があります。
また、法人規模も待遇に影響します。社会福祉法人や医療法人が運営する中規模〜大規模施設は、財務基盤が安定しているため、ボーナスの安定支給が期待しやすい環境です。
一方で、地域密着型の小規模事業所は利用者数の変動がボーナスに直結しやすく、業績次第で増減することがあります。
転職エージェントを利用する場合は、「前年度のボーナス支給実績」を書面で確認してもらうよう依頼すると、口頭での説明だけでは把握しにくい実態を確認できます。
出典:厚生労働省「介護分野における処遇改善に向けた取り組み」(2025年3月取得)
2026年度の賃上げ動向とボーナスへの影響
介護報酬改定と処遇改善加算
2026年度は介護報酬の臨時改定が実施され、介護職員の賃上げが国の方針として打ち出されています。
改定の規模は最大で介護職員1人あたり月額1万9,000円の賃上げに相当するとされています。
この財源となるのが「処遇改善加算」「特定処遇改善加算」「ベースアップ等支援加算」の3種で、国は2026年度にこれらを一本化・拡充する方向で検討が進んでいます。
出典:厚生労働省「2026年度介護報酬改定の概要(案)」(2025年3月取得)
賃上げがボーナスに波及するしくみ
月額賃金の引き上げは、基本給を底上げする形で実施されることが多いため、ボーナスにも間接的な影響があります。
ボーナスが「基本給 × 支給月数」で計算される施設の場合、基本給が1万円上がれば、年2回支給(合計3ヶ月分)のケースでは年間3万円のボーナス増に相当します。
ただし、賃上げの恩恵は処遇改善加算を適切に取得・活用している施設に勤めている職員に限られます。
転職や就職時には、在籍施設がどの加算区分を取得しているかを確認することが、将来の待遇を見極める重要なポイントです。
出典:厚生労働省「2026年度介護報酬改定の概要(案)」(2025年3月取得)
よくある質問
厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、全産業平均のボーナスは年間約80万円前後です。
介護職の平均約55万円は全産業平均を下回っていますが、2020年代以降の処遇改善加算の拡充により差は縮まってきています。
特養・老健などの施設では全産業平均に近い水準のボーナスが支給されるケースもあります。
ボーナス制度のある施設であれば、入職初年度でも支給を受けられる場合があります。
ただし、入職後すぐの支給月(例:入社が4月で夏季ボーナスが6月)は、在籍期間が短いため満額支給でないことがほとんどです。
経験年数1年未満の平均は約34万円とされており、これが一般的な初年度の目安となります。
ボーナスなしの施設であっても、その分を月給に上乗せして「年収ベースで高水準」な設計になっているケースがあります。
待遇を比較するときは月給だけでなく「年収(月給×12+ボーナス)」で比較することが大切です。
求人票に「賞与なし」と記載されている場合は、面接時に「月給の設定根拠」を確認しておくとよいでしょう。
公的統計の数値では、無資格者と介護福祉士の年間ボーナス差は約20万円(約39万9,000円 vs 約59万5,000円)です。
施設や経験年数によって異なりますが、資格手当として基本給に月5,000〜15,000円の上乗せを行う施設が多く、その分がボーナスにも反映されます。
処遇改善加算は、施設が国から受け取る補助金を職員の賃金に還元する制度です。
還元の方法は施設が決定できるため、「月給への上乗せ」「ボーナスへの加算」「一時金支給」のいずれかになります。
ボーナス月にまとめて支給する施設では、処遇改善一時金として年1〜2回分が加算されるケースがあります。
入職前に「処遇改善加算をどのように配分しているか」を確認しておくと、実際の手取りを正確に把握できます。
状況によって優先順位は異なりますが、一般的には「資格取得 → 現職での昇給交渉 → 満足できなければ転職」の順が効果的です。
資格を取得してから転職すると、採用時の交渉力が上がり、より高い基本給・ボーナスで入職できる可能性が高まります。
現職の施設が処遇改善加算をほとんど取得していない場合は、加算取得率の高い施設への転職を先に検討するほうが、収入改善が早いケースもあります。
まとめ
介護職のボーナスに関するポイントを3点で整理します。
- 平均は年間約55万円・施設別では最大約80万円の差がある
特養・老健は高水準(年間70〜80万円超)、グループホーム・デイサービスはやや低め(40〜51万円台)です。 - 経験年数・資格・役職がボーナスを左右する
介護福祉士の取得だけで無資格と比べて年間約20万円の差が生まれます。
長く勤め続けることでも20年以上では96万円超の水準に達します。 - 2026年度の処遇改善拡充でボーナスがさらに伸びる可能性がある
月額最大1万9,000円の賃上げが基本給を引き上げれば、ボーナスへの波及効果も期待できます。
加算取得率の高い施設を選ぶことが今後の待遇改善に直結します。
現在の施設でのボーナスに満足できない場合は、資格取得・役職昇進・転職の3つを組み合わせることが、最も効果的な改善策です。
転職を検討する際は、ボーナス支給月数・処遇改善加算の取得区分を必ず確認してから動くことをおすすめします。



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